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1年間に50億個の宅配 軽貨物ドライバーに密着 「安全対策強化」で岐路に立つ軽貨物業界

ネット通販でいつでもどこでもモノが買えて、日時を指定すればほしい時に手に入る。
そんな便利な世の中を下支えしているのが軽貨物のドライバーです。
配達量が増加する中でいま、ある問題が浮き彫りになっています。
皆さんの身近な生活に関わる物流の現実に迫ります。

走る!
届ける!
そして…「こりゃ終わらんわ」
焦る!

軽自動車で荷物を配達する「軽貨物ドライバー」池田和駿さん。
車には・・・隙間がないほどに積まれた荷物。

【軽貨物ドライバー・池田和駿さん】
「大体いつもこんな感じです」

年度末のこの日、広島市中区の住宅を配達して回ります。

【池田さん】
「新生活にむけて買い物される方とか結構多いと思うので、そういうので荷物がどうしても増える」

新生活を控え何かと物入りな3月は、軽貨物業界にとっては”繁忙期″。
池田さんは午前中に事務仕事を終わらせ、午後3時から夜まで、およそ120個の荷物を配達します。

【池田さん】
Q:1時間に何個配るとかあるんですか?
「1時間に慣れているところだったら20数個くらい。3分に1個」

3分に1個、荷物を届けるまさに分刻みの配達スケジュール。
時間指定の荷物を時間通りに運ぶためには、いかに効率がいいルートを考える必要があります。
マンションへの配達は、台車に荷物を載せて複数の家庭に一気に届けます。
しかし…なぜか、荷物を持ったまま出てきました。

【池田さん】
「宅配ボックスが空いてなかったんで、不在で持って帰るしかないんですよ」

その後も、悪い流れが続きます。

【池田さん】
Q:不在ですか?
「不在です」
「宅配ボックスがこわれてた」
「号室不明です(届け先は)16階だけど16階がない家です」

不在やトラブルが続出し、思うように配達が進みません。

【池田さん】
「まずいですね。非常に」

【荷物受け取った女性】
「娘がね買うじゃないですか通販とか。その届け物が多いです」

【荷物受け取った女性】
「これ娘の(荷物)。娘がけっこう頼んでいるから(結構多いですか?)多いんですよ」

コロナ禍での外出自粛でネット通販の利用が急速に広がり、2023年度には、全国の年間の宅配荷物が初めて50億個を突破。
ドライバー1人あたりの配達量が増加し、さらに、新規参入が増える中、問題化しているのが…【交通事故の急増】

貨物自動車全体の交通死亡・重傷事故件数は減少している一方、軽貨物に絞るとその件数は増加の一途を辿り、2022年には2016年の倍以上に増えています。

中国軽貨物協会の新井達也代表幹事は、軽貨物ドライバーの働き方が事故増加の大きな要因だと指摘します。

【中国軽貨物協会・新井達也代表理事】
「1個配っていくらという契約が多い。配らないとお金にならない。荷物をいっぱい配りたいというので運転が荒くなってしまったりとかそういう部分はあると思います」

重大事故の増加を受け、軽貨物の安全対策に国が乗り出しました。
事業所に対し、安全管理者の選任と講習受講のほか、業務の開始や終了、走行した距離などの記録の作成と保存を義務付けます。
物流業界を担う人手がその需要に追い付かない中、“新規参入のハードル”にもなりかねない法律改正ですが、新井さんは…

【中国軽貨物協会・新井達也代表理事】
「(新規参入の)ハードルは増えたと思います。ただハードルは増えるべきだと思います。この業界自体が安全意識が現状低すぎるので、規制を増やしていくべきかなと思っています」

【池田さん】
(焦る気持ちはわかる?)
「すごいよくわかりますよ。時間指定に追われますし」

軽貨物ドライバーの池田さん。
3時間配達して、まだ半分以上の荷物が残っています。
徐々に焦りと疲れの色が濃くなってきました。
時間に追われる日々。
しかし、池田さんはこの仕事に“やりがい”を感じているといいます。

【池田さん】
「1日にこんなにたくさんの「ありがとう」をもらう仕事ほかにないと思っています。多い人で120~30名のありがとうをもらえるんじゃないかなと思います。この仕事は」

「救出の連絡が…助けてあげますよと。しんどい」

ヘルプを申し出てくれたドライバーたちに、残った荷物の一部を託します。
不本意な気持ちは…正直ある。でも、きょう中に配るための最善策を選びます。

配達を終えたのは午後9時半。
およそ6時間半、休みなく運び続けました。

【池田さん】
「きょうみたいにすごいバタバタして事故にはならなかったからいいんですけど。本人の力量と合わない部分だったら事故になりかねないというところはあったりする。けれども将来的な不安としてはただでさえ人材が少ない中でもっと減る可能性もあるんじゃないかなという懸念点は正直あります」

配達量の増加に加え、「安全対策」という新たな課題を突き付けられた軽貨物業界。
生活に直結する問題だけに、再配達にならない対策をするなど荷物を受け取る側の意識の変化も問われそうです

《スタジオ》
数が増えていると言われるこの宅配荷物の個数、こちらをご覧ください。
2016年から2021年までの間で9億個増えている。気が遠くなるような数字です。
そして、軽貨物車の台数は同じく5年間で31.4%も増えているということです。しかし、配達量増加に人手が追いついていない。2021年までですから、今はもっと増えてるかもしれません。
需要の伸びに人手が追いついていないという中で、運転がついつい荒くなって事故につながってしまうというケースもままあるということです。
中国軽貨物協会の新井さんによりますと、運転技術の教育を受けないまま参入する人が増えたことも事故増加の要因ではないかというところがあるということです。

それから取材に応じてくれた池田さんは、荷物を受け取る側にぜひお願いしたいということは、一度不在で受け取れなかったら、次は確実に受け取れるようにしてほしいと話しています。不在BOXとか時間指定とか、私たち利用する側もしっかり考えないといけません。

【コメンテーター:広島大学大学院・匹田篤准教授】
「荷物が増えて人手が不足している中で、本当にギリギリのところでサービスが成り立っていることを改めて感じました。もはや全てのものを個配で家の玄関まで届けていただくだけじゃなく、手で持てるものは集配所、中継所に私達が持っていく、取りに行く、そういうことを考えなければいけないと思います」

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