Soneto in F / Enriquez de Valderrabano
ソネット / エンリケ・デ・バルデラーバノ
この作品は、元々リュートではなく、ビウエラという楽器のために書かれた曲です。ビウエラは、音の並びや楽器としての機能はリュートとほとんど一緒なのですが、様々な理由から当時のスペインではリュートよりもビウエラが普及していたと考えられています。
ソネットは元々イタリアで生まれた14行からなる定型詩(日本の俳句や短歌のように、決まった型を持つ詩)のことを指していたと言われています。これがスペインに入り、ビウエラで演奏される世俗的な短い曲として形を変えたと考えられています。
【ビウエラとは】
16世紀スペインの黄金期にイベリア半島で広く普及していた宮廷楽器で、スペイン王国の衰退とともに突如姿を消しました。現存するオリジナルの楽器は世界にたった3台だけであるとされています。その美しい音や形状から、“高貴な楽器”として王族や貴族、知識階級の人々に愛されていました。ビウエラはギターの祖先のような存在であり、形状もそっくりです。当時スペイン宮廷では、合唱のように複数の声部が絡み合い調和して生まれる多声音楽、“ポリフォニー”と呼ばれる音楽が親しまれていました。ビウエラはそのようなポリフォニーの音楽を演奏するのに非常に適した楽器でした。というのも、右手の指で弦を弾くことで、いくつかの声部を同時に引き分けることができたからです。
ビウエラ奏者であったバルデラーバノの作品は繊細で精神性が高いことに加え、どこか温かみが感じられる曲が多いのが特徴です。この曲は1547年に出版されたシルバ・デ・シレーナス「人魚たちの詩歌集」という曲集に収録されている物です。
Lute:Mikiya Kaisho
Sound&Video: Fumio Kagoshima
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会所幹也(かいしょみきや)
1991年生まれ、大阪府八尾市出身。幼児教育の専門家である木村英明氏に4歳よりギターの手ほどきを受ける。幼少期より毎年コンクールに出場し、入賞を重ねる。
ウィーン国立音楽大学ギター科においてアルバロ・ピエッリ氏のもとで研鑽を積み、修士課程を最優秀の成績(Auszeichnung)で卒業。在学中より、クラシック以前のルネサンスやバロック時代の音楽に高い関心があり、古楽器リュートにおける歴史的演奏法を学ぶ必要性を強く感じるようになる。
2019年、リュートへの転向を決意。ドイツに拠点を移し、フランクフルト国立音楽大学にて、本格的にリュート及び通奏低音楽器であるテオルボの研究を始める。同大学においてリュートにおける数少ないソリスト、また通奏低音奏者として国際的に活躍する今村泰典氏に師事。
2022年、リュートを本格的に初めてわずか3年で、リュート界唯一と言われる第11回マウリツィオ・プラトラ国際古楽コンクール(イタリア)にて優勝。
温かく透明感のある音色で聴衆に語り掛ける、次世代のリュート奏者として注目を集める。また近年は拠点ドイツのみならず、日本での活動も本格化させている。
令和2年度文化庁新進芸術家海外研修員。2020年から6期に渡り、野村財団奨学生。2022/2023年度ドイツ政府公式奨学生。2023年NHK-FM リサイタル・パッシオ出演。
#リュート #会所幹也 #癒し
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